子どもは過去といえる過去をもちません。具体的な未来を思い描くこともしません。子どもというのは、「今、ここ」に生きるものです。その点では、言葉をもたない動物と似ています。ですが、子どもが成長すると、過去をもちます。そしてその過去こそ、言葉そのものなのです。私たちは、経験を言葉にして物語ることによって、それを過去にすることができます。そうして、そこから学ぶことができるのです。さらに未来とは、経験から学んだことを生かして思い描く夢です。夢もまた、言葉によってかたちづくられます。
私たちは、言葉によって過去から学び、未来を想像=創造します。それは、人間として成長していくということです。「言葉と生きる」ということは、そういうことなのです。
ことは塾では、言語力や言語活動を、生きるための単なる技術とは考えず、人間として生きていくことそのものだと考えます。