子どものための哲学対話

 「民主主義って知ってる?」と小学三年生のTくんに聞いたら、「アメと鞭って知ってる?」と逆に聞かれてしまいました。

「うん、知ってるよ」と答えると、「その反対」とTくんは言いました。子どもはなんでも知っています。

 よいことをしたら「アメ」がもらえるけれど、悪いことをしたら「鞭」でぶたれるのは、たしかに「民主主義」ではありません。第一、その前に、どんなことがほんとうによいことなのか、どんなことが悪いことなのかを考えなければなりません。考えることができるのも民主主義でしょう。

 子どもたちと、いろいろなテーマについて話し合います。今、この世界でおこっていることについて話し合うこともあります。そうすると、思いもかけない鋭い意見がかえってくることがあるのです。

 オンラインで授業をすることが多くなり、今まで以上に言葉の力の大きさと表現の難しさに気づくことが増えました。言葉で考え、言葉で表現すること、それを目指して、みんなで対話をおこないます。

 子どものための哲学(PFC)を意識した授業をおこなっています。言葉で考え、言葉で話し合う、対話を中心とした授業です。子どもたちは、問題に向き合い、みずから考え、解決する方法を見つけます。生きていく力を身につけていくのです。哲学を身につけ、主体的に生きることができるようになった子どもは強いです。ものごとに、みずから積極的に取り組むことができるようになります。

 オンラインでの授業が増え、世界中、あらゆるところから授業に参加していただくことができるようになりました。生きるため、よりよく生きるために、多くの子どもたちに対話に参加してもらえるとうれしいです。